どうもこんにちは。サービスマン渡邉司です。
リニューアルもしたので何をどのように書いていこうかと悩んだのですが、やはり仕事のことについて書くことが先かなと思いまして、まずは僕なりの「ソムリエとしての矜持」を書いていこうと思います。
ソムリエと聞くと、多くの方がワインを思い浮かべるかもしれませんが、最近は野菜ソムリエや映画ソムリエ、枕ソムリエなど、様々な分野で「ソムリエ」という言葉が使われています。
ソムリエの役割と責任
僕が考えるソムリエの役割は、単にワインを提供するだけではありません。
この後に説明する三つが大切だと思っています。
1、ワインの知識を深め、お客様に最適なワインを提供する
2、レストランの雰囲気やメニューに合わせたワインの選定
3、お客様との信頼関係の構築
以上の三つが大切だと思っています。では、順番に書いていきたいと思います。
ワインの知識を深め、お客様に最適なワインを提供する
ソムリエという仕事の根幹には、ワインに対する深い知識と情熱があります。ブドウの品種や産地、ヴィンテージ、テロワールなどの基本的な情報を押さえるのはもちろん、ワインの造り手がどんな思いでそのワインを生み出しているのか、背景にあるストーリーや歴史にも目を向けています。
日々新しいワインを試飲し、味わいや香り、バランスを自分の感覚で確かめることも大切な仕事の一つです。
知識は本や情報だけでなく、実際にワインに触れ、体験することでしか得られない部分も多くあります。
お客様に最適なワインを提供するためには、ただ知識を披露するだけでなく、相手の好みやその日の気分、予算、食事との相性まで細やかに汲み取る力が問われます。時にはお客様が気づいていない好みや新しい発見を提案することも、ソムリエの役割だと感じています。
ワインを通じて「こんな味わいが好きだったのか」「今まで敬遠していたけど、美味しいね」と驚きや喜びを感じてもらえる瞬間は何よりのやりがいです。
ワインの魅力や背景を分かりやすく伝え、味わいだけでなく物語や感動も一緒に提供できるよう、常にアンテナを張り、学び続けています。
また、美味しいワインだけでなく、どんな状態のワインは健全ではないのか。お客様に提供してはいけないのか。ということも知っておくこともとても重要です。
たまにあるのですが、酸化しているワインを出したり、泡の抜けたシャンパンを出してくるお店。残念ながら高級店でもそうじゃなくてもそういうお店があるのが現実です。
ワインの知識やどれだけ飲んできたかを自慢するだけで管理ができないソムリエが一定数いるのも事実なのです。
確かにどれだけ飲んだのか、知っているのかはとても重要です。ですが、それは基本中の基本なので、それを自慢するのは仲間内だけで済ませるべきであるのが本音です。
レストランの雰囲気やメニューに合わせたワインの選定
レストランやビストロ、飲食店というのは単なる食事の場ではなく、空間全体で体験を提供する場所です。
ソムリエにはその場の雰囲気やメニュー、季節感など、さまざまな要素を総合的に捉えてワインを選定する力が求められます。照明や音楽、インテリアといった空間の雰囲気に合わせて、ワインの種類や提供方法を工夫することで、より一体感のある体験を演出できます。
また、シェフが作り出す料理の個性やコースの流れを理解し、それぞれの料理に最適なワインをペアリングすることもソムリエの大切な仕事です。
料理の味わいや食材の特徴、香りや余韻、食感まで細かく分析し、ワインとの相性を見極める力が問われます。シェフやスタッフと密にコミュニケーションを取り、時には新しい組み合わせや意外性のある提案にも挑戦します。
例えば、あえてロゼワインだけでコースを組んだり、季節限定のワインを取り入れることで、お客様に新鮮な驚きと楽しさを提供できます。
空間、料理、ワインが調和することで生まれる一体感を大切にし、お客様にとって忘れられないひとときを創り出すことを目指しています。
そして意外と見落としがちなのがお客様の予算。いくら良いものをくださいとか予算を気にしない方でも限度というものがあります。
僕も経験があるのですが、どうしても見栄を張ってしまう時もあります。(特に女性や部下と食事をしている時)そんな時に懐具合も完璧に見抜いてくれるソムリエやサービスマンがいると、すぐにファンになります。笑
お客様との信頼関係の構築
そしてソムリエはお客様との信頼関係を構築することも大切な仕事の一つです。
ワインや料理についての質問に適切に答え、お客様のワインの好みを理解し、リラックスした雰囲気の中でお客様にワインを楽しんでいただくことができます。
例えばミシュランの星が付く、星を目指すような高級感のあるレストランでは、上品で洗練されたワインを提供することが求められます。ある意味メジャーどころを揃えておく必要も出てきます。
シャンパーニュ一杯が3,000円〜、グラスワイン一杯2,000円〜というのはザラですが、それに見合うグラスや設えもありますので一概に高いとは言えないと思う一方、カジュアルなレストランでは、より気軽に楽しめるワインが適しているでしょう。
僕が以前立ち上げたビストロやトラットリアはグラスワイン一杯800円〜というお店もありました。カジュアルな雰囲気のお店に対して一杯3,000円もするワインを無理しておく必要はないのです。
まあ今はコラヴァンという優れたアイテムがありますから、置けないことはないんですがね。
このような感じでソムリエは、お店の照明、音楽、インテリア、グラスなどを考慮し、全体的な雰囲気に調和するワインを選択します。
こうした中で僕らはお客様と会話をし、新たな経験や発見をワインや料理を通じて信頼関係を築いていきます。
「このお店にくれば何か面白い経験ができる」「あの人に会えば楽しく食事やワインが楽しめる」「商談がうまくいく」そう思ってもらうために僕らは日々新たな知識や情報を仕入れ、お客様に還元する。
地道なこの繰り返しでリピーターが増え、お店が盛り上がる。そんなサイクルができあがります。そして自分の給料が上がればもっと嬉しい。笑
そのために考えることは常にお客様ファーストである必要があります。
僕らは主役ではなく黒子です。目立とうとするのではなく、気がついたら目立っていた。というのが理想だと僕は思います。
基本はお客様にどうしたら喜んでもらえるのか。これを絶えず考え続けなければいけません。
時にはワインを飲まないお客様もいらっしゃいます。ワインを飲まないからいいや。と雑なサービスをするソムリエも見かけますが、ソムリエ失格です。
主役はお客様です。僕らはソムリエである前にサービスマンです。それを忘れてはいけません。
ソムリエとして、そしてサービスマンとして、これからも知識と経験を磨き続けていきたいと思います。
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知ってはいるけど、最近まじで高くなったな…。