どうもこんにちは。サービスマン渡邉司です。
今年もそろそろソムリエ試験の申し込みが始まりますね。僕の周りでもスクールに通うと決めた人、今年こそは受かるぞ!と意気込んでいる人もちらほら。みなさん頑張ってください。
さて、そんな中元部下からこんな相談を受けました。
「本当は資格なんてなくてもいいんじゃないかと思っているんです」
「司さんみたいに、最初は無資格でもやっていけると思うんです」
と。
ふむふむそうね〜と思いつつ、これはちょっと書きたいなと思いましてキーボードを叩いております。
ぶっちゃけいらなくね?
以前も書きましたが、僕は今まで持っていなかったんですよね。ソムリエ資格。
資格を取ったのも2022年度、年齢にして31歳。
それなりに長くこの業界にいますが、本当に必要だと思っていなかったんです。ついこの前まで。
ぶっちゃけなくてもそれなりに知っているし、ソムリエである前にサービス、ウエイターだからまずはそっちでしょ。みたいな。
ですが色々思うことあって、とてつもなく重い腰を上げて2022年にようやく取得しました。
僕はソムリエじゃなくてサービスマンです。と常々言っているので、ワインは二の次三の次。
まずはお店の営業を円滑に回す、美しいサーブを心がける、経営を学ぶ、お客様をどうやって喜ばせるか…等々。根本はウエイターである。と言うことを根底において働いてきました。
ですが必要とあればワインの説明だってします。料理と合うワインだって提案します。
レストランに勤務していた時はシェフソムリエも経験しました。
それでも僕はワインは二の次三の次だと思っています。ワインというかお酒とか他の飲み物も。
現場でお客様を喜ばせてなんぼ。
これが基本だと常に思っています。
マネージャーをやろうが、本部の人間として働こうがなんだろうが、ずっとそう思って働いてきました。
裏での事務仕事は当然大切ですし、一定の立場の役職に就かなければ出来ない仕事は絶対にあります。
その道ももちろん辿ってきました。だからこそはっきりと言えます。
現場のお客様を喜ばせる以上に大切なことはない。
と。
そのお客様を喜ばせるツールとして、ワインをはじめとする酒類やコーヒー、カクテルなどの飲料があると思っています。
そうは言ってもレストランならアルコール…特にワインを売らなきゃダメでしょ?水商売だし。
ええ、そうです。そりゃあ当然です。
ですが、ここで一つ質問をさせてください。
ワインを飲まない、あるいはお酒が飲めないお客様をどうやって喜ばせるの?
最近の傾向だと身体に気を遣ってノンアルで済ます人だって増えてきてるよ?
そういう人たちに対してどうサービスするの?
どうやってお客様を顧客様にして、そして最終的に自分のお客様にするの?
と聞いた時にきちんと答えられる人がどれだけいるのか?
え、できないの?ふ〜ん。と僕は思うわけです。生意気ですが。
お酒を飲まないお客様は自分のお客様ではありません。
という人も見かけますが、まあ自分がオーナーのお店ならそれも良いですが、雇われている以上そんなことは言えません。というか口が裂けてもそんなこと言えません。
それを平然というのはその他のことができない、向き合おうとしない、出来ない言い訳にしか僕は聞こえません。
特に新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言下の中で、お酒を提供できない世の中になってしまった時にこれを強く感じました。
出しちゃいけない状況になってしまったんですから。リアル禁酒法です。
何をどう言ってもアルコール飲料の提供が出来ないのです。
ランチ営業をしているのにワインが出せないんです。ゆったりとした雰囲気の中でランチコースを食べつつシャンパンとか飲めないんすよ。これは辛かった…。
この状況下を現場で経験した人間ならお酒はただのツールである。と言うことがわかると思います。
休業して何も考えず何も動かなかった人は多分理解できないでしょうね。
ま、そんな人はたくさん見てきました。オーナーシェフで小さい箱なのに接客が全然出来ない人とかね。
そんなことも重なって思ったわけです。
別にこれなら資格要らなくね?と。
時間が経つにつれて変わった考え
コロナも関係しましたが、そもそもの前提として必要ないと思っていた僕はしばらく持っていなかったんです。ソムリエ資格を。
この業界で生きていくと決めた時からいろんな人に
「まずは資格だね」と言われ続けていたのですが、どうもピンときていませんでした。
もちろん資格は持っていた方が有利です。
独立する時も、転職する時だってそうです。
「ソムリエ資格は持っていませんが、経験もあるしサービスできます!」
なんて言っても履歴書からは判断できません。そして口だけでおしまい。の人もたくさんいます。
その判断基準の一つとして資格は絶対的にあった方が有利になります。給料の面でもね。
それでも僕は現場に出てどんな人にもサービスできて当たり前。それが普通。だから間とか所作とかいろんなことを勉強しましたし、お酒以外のツールとなる飲料も勉強しました。
そのお金を全てワインに使用していたら今頃どうなっていたのか…多分こうやってブログを書くなんてことはなかったでしょう。笑
見ることのできる視野が圧倒的に違います。これは断言できます。お酒以外のこと、しっかり勉強しないとこの先生き残れないよ。と偉そうに言わせてください。
そんな僕がどうして資格を取ったのか。この考えが変わったのは独立をして個人で動くことが増えてきてからでした。
ずっと「資格なんかいらねーよ」と言っていた人が急に「やっぱり資格って必要よね」と大和田常務もびっくりの手のひらの返しっぷり。
まあね、色々なお客様から言われてきたんですよ。
「独立したんだから資格取ったら?」って。
とは言われても不要論をひたすら唱えていた僕は全く聞く耳を持たないわけです。
たかがソムリエ資格取るためにお金と時間使うならその分をサービスを学ぶ力にするわ。と本気で思っていたんです。
ですが、日々刻々と時間が過ぎる中、少し落ち着いて考えてみると行き着くわけです。
取らない理由?そんなのなくね?笑
そう、なんとびっくり、あんなに資格なんかいらねえいらねえ言ってた人がいきなり
「やっぱ資格取りますわ。受験料も払ったし対策するためのサイトもバッチリ登録したわ」とか言ってるんですよ。
自分のことながら行動の早さに驚いています。思い立ったが吉日(それでも申し込んだのは期限ギリギリ)受験の申請をしました。
それからというもの、あっという間に時間は過ぎ、一次試験を受かり、二次試験もパスして、三次試験も見事通過。
そんなこんなで晴れてソムリエ資格を取得しました。
まあ別に要らないっしょ。と思いながら働き続け…10年。とてつもなく重たい腰を上げて取ったソムリエ資格。
まあ今の所そんなに活きるようなこともしてないですが、いずれどこかで活きるでしょう。というか取った以上は活きるように働いていきたいと思っています。
取っておいて損はない
正直資格を持っているから得をするとか、持っていないから損をするとかというのはそこまで差はありません。
飲食系の転職サイトでもソムリエを持っているから給料高いとか書いてありますが、そこまで関係ない気がします。
確かに給料はすこ〜し高くなるような気がするのですが、まあ微々たるもんだと思います。
給料が高い=責任や負担も多い
という単純なことが全くアテにならないのがこの業界だと思うので、本当にどっちでもいいと思います。
会社に意見をしたいなら持っておけよ。程度の感じ。あとはお客様にマウント取られないくらいですかね?バッジつけてないけど僕は。
能ある鷹は爪を隠すじゃないですけど、わざわざ「僕持ってます」というのは僕の性分からしてあまり好きではないので、つけずにこのままいこうかなと思います。
自分のお店を持ったら話は変わるかもしれませんけどね。笑
高い受験料払って取ったのに知識はアップデートしなくてはいけないし、取ったら取ったで変なプレッシャー感じるし、ぶっちゃけ今はお客様の方がたくさんワインを飲んでいるので(持っているお金の差もあるしね)ずっと追いかけられる感覚はあります。
プロだから知識のアップデートは絶対に必要だと思いますが。。。
ちなみに僕はハイパードMなので、ワイン以外のツールの勉強も疎かにしたくありません。
正直お客様に「全然フランスワイン知らないんだ」と言われることもたくさんあります。
それなりに知っているつもりですが、フランスワインしか飲まないお客様からしたら僕なんて全然知らない部類なんでしょう。
「まだまだ知らないことが多いので飲ませてください」
と即座に返せる度胸と場馴れができるのが僕のサービスマンとしての強みの一つですが。。笑
まあそんなこんなで取ったら取ったで色々葛藤やらあるわけです。
それでも今、僕はこう言えます。
資格、あった方がいいよ
とね。では、また。