Stories / 物語 Wine List / ワインリスト ブログ

サン・ミケーレ・アッピアーノ新エノロゴ来日交流会

こんにちは渡邉司です。
だいぶ前になるのですが、北イタリアのアルト・アディジェからサン・ミケーレ・アッピアーノの新エノロゴ、ヤコプ・ガッサー氏が来日し特別なディナーに招待してもらったので行ってきました。

St.Michael-Eppanとは?

  • 北イタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州に拠点を置く1907年設立のカンティーナ・ソチャーレ(醸造協同組合)
  • 地元の栽培家と連携する老舗ワイナリー。多彩な畑を厳密な区画管理で活かし、クリーンで精緻なスタイルに定評。
  • レンジは幅広いものの、代表的なワインは区画選別を徹底した上級シリーズ〈Sanct Valentin〉と、トップキュヴェ一つ〈Appius〉。Sanct Valentinは某有名ワイン漫画にも登場しましたね。
  • テロワールの高さ×醸造の緻密さで、バランスと汎用性を両立。
  • " La qualita' non conosce compromessi "(直訳:品質は妥協を知らない)というモットーを常に念頭に置いている。

※一部資料抜粋しております。

はじめに——“冷涼×ミネラル”がもたらす安心感

北イタリアに位置するアルト・アディジェ。
僕はどちらかというとトレントの泡をイメージしがちかなと思うのですが、やはりこちらのワイナリー抜きには語れないエリアかと思います。
某有名ワイン漫画にも出てきたこのワイナリーですが、「Sanct Valentin」※サンクトヴァレンティンは現場でもよく使用していましたが、今回飲ませてもらった「Appius」※アッピウス、そして優良年にしか造られることがない「The Wine Collection」※ワイン・コレクション。は数えるくらいしか飲んだことがなかったので、とても有意義な会となりました。
アルト・アディジェというと冷涼な地域になりますが、その冷涼さは場所もそうですが高い標高にあります。
この峻烈な寒暖差と標高が生むピュアな酸とミネラルは、白ワインには張りのある酸味や味わいのキレ、赤ワインでは軽快さとフレッシュさをもたらします。
今回は甘口も含めて全部で7種類飲ませてもらったのですが、多分世界中を探しても類を見ないワイナリーだと思います。
だって主要な品種のワインほとんど造っていますからね。カベルネ・ソーヴィニヨンと泡がないくらいじゃないですか?
そしてそのどれもがハイクオリティで普段フランスワインを扱うことが多いのですが、久しぶりにやられたなぁと感じるワインもありました。
北イタリアだとフリウリの方が好きな造り手が多いのですが、う〜ん、やはりすごいなここは…。

 

緊張して料理の味あんまり覚えていません。

ソムリエとして料理とワインの組み合わせについて語るのは当然のことなのですが、実はこの会、イタリアワイン業界の超VIPばかりいたので、正直料理の味は覚えていません…。
いや、美味しかったんですよ。料理の写真も撮ってありますし、ちょろっとコメントも書いてたので見れば思い出せますし、プライベートでも利用したかったお店が会場だったので「よっしゃ!」と思っていたんですよ。
なのに会場に行くとまず目に入ったのが、某ソムリエさん。うわ!まじかよ!と思いつつ、実は顔見知りだったので挨拶に行ったのですが、この人クラスが来るのかよ…と思ったらもう震えが止まりません。
普段フランスワインを中心に扱っている僕がどうしてこの会に呼ばれたのかとても不明なのですが(10人くらいしか招待されなかったらしい)そんな僕でも知っているくらいの業界内の有名人がいたので、さすがに緊張しました。
コメントとか求められても何話せばいいのかわからないもん。びっくりするわ。脇汗びっしょりでしたもん。
なので料理のことは今回は抜きにします。純粋にワインのコメントだけにします。

キュヴェ別テイスティング・ノート(要点)

実をいうと先ほどの緊張が尾を引いてワインの写真もほとんど撮れなかったんですよね。笑
コメントは書いてあるのですが、なんせ周りにはねぇ…。変なコメントできないし、どうすりゃいいのかわからなかったんだもん。
正直どれも素晴らしかった。多分そのままレストランで出しても十分に戦えるラインナップだったし、もう少し寝かせてもまだまだ可能性のあるワインが揃っていましたね。
そんな中でも特によかったのがこのシャルドネとアッピウスの二つ。
この作り手といえば代表的なのはソーヴィニヨンなんだけど、一発目にシャルドネを持ってきたのはとてもよかったと思います。

サンクト・ヴァレンティン シャルドネ 2021

  • 外観:淡いレモンイエロー。非常に澄んでいて透明度が高い。
  • 香り:レモンカード、白桃、リンゴ、白い花、樽由来のバニラ。
  • 味わい:とても荒いというのが最初の感想。多分若いのと開けたてだったからだと推測。温度は多分12℃くらいだったと思う。樽のボリュームも感じるし香りに含まれる樽香がよりリッチさを感じさせる。若いヴィンテージ特有の酸の張りが骨格を作り、ほんの少しだけ塩味のニュアンスが余韻に残る。温度を上げるとクリーミーさが増すがダレにくい印象。
  • 総評:料理で言えば前菜〜甲殻類、ホタテ、白身魚までバランスよく使えそうな雰囲気。乳・バター・ナッツ要素があるとなおよし。
    そして豚肉や鶏肉をメインにする料理であればメインディッシュにも当然出せるくらいのパワーも秘めているから色んな場面で使えると思う。

実はこれが一番最初にサーブされたのですが、それがまた良かった。他の人とも話した中で「サンクトヴァレンティンといえばソーヴィニヨンだけど、これを一番最初に持ってきたことに意味があるんだよねぇ。」ってみんなで頷いたのですが、造り手側がこのワインをどう評価するのかを見ているのでは?と思いました。
食事と共に出すワインは一杯目で全てが決まると言っても過言ではないほど重要だと僕は思っていて、品質はもちろんのこと「さぁ、飲んでみてくださいよ。楽しんでくださいよ。」というお店や造り手からの無言の圧力(良い意味で)メッセージと言った方が良いですかね?
もうこの一杯が美味しかったら多分他のワインも美味しいだろうし、これがダメならあまり期待しない方が良いと思ってもらっても良い。くらいに力を入れなくてはいけないところなんですね。
そういった意味でもこの日は見事にやられました。最高でした。

いや〜良かった。

アッピウス 2015(マグナムボトル)

  • 外観:淡い黄金色。
  • 香り:洋梨、柑橘ピール、カモミール、蜂蜜、樽由来のバニラ。
  • 味わい:年によってブレンドが違うらしいのですが、今回は2015年のマグナムボトルでの提供でした。この年はシャルドネ55%、ピノ・グリージョ20%、ピノ・ビアンコ15%、ソーヴィニヨン10%とのこと。テクスチャーは思ったよりも滑らかで、まだ酸もくっきりとしていて、樽の要素はリッチだけど嫌らしくなく、そして余韻にミネラルとハーブの陰影。
  • 総評:正直化け物だと思いました。どこのエリアにも属さないワインかと。フランスにはこういうタイプないし、日本はもちろん他の国でもここまで完成度が高く圧倒される白ワインてなかなかないような気がします。バター/クリーム系、甲殻類、キノコ。チーズとも相性が良さそう。

いやーびっくりしました。僕個人としては北イタリアのワインで好きな造り手他にいたんですが、ちょっと推し変しようかと思うくらい素晴らしいクオリティのワインでした。
やはり生産者に会って直接話を聞いたりするのは大事ですね。今年はメーカーズディナーを僕がいるお店で数軒やったんですけど、やはり話せば話すほどその生産者のワインが好きになります。
改めてワインは人が造るもの(自然ありきですが)だと実感しました。


サービス設計(現場での提供の仕方)

  • グラス:サンクト・ヴァレンティン・シャルドネはいわゆるリーデルのモンラッシェグラスがベスト。香りを引き立てつつエレガントな酸もぜひ楽しんでもらいたい。
    アッピウスはボルドーグラスがいいかなぁ。パワーもしっかりとあるので大ぶりなグラスでも僕は良いと思います。温度を低い状態から行くならリーデルのシャンパーニュグラスでもいいんじゃないかなと思います。でもどうせなら酸も引き出しておきたいからザルトのユニバーサルグラスでもいいかも。
  • 温度:僕はシャンパーニュや白ワインは最終的な着地の温度が少し高い場合でも最初はキンキンに冷やして出したいと思っているので、開始6–8℃くらいですかね。引き締まった酸がある状態で飲んでもらって、口内がワインを受け入れる体制にして飲んでもらいたいと思っています。最終的には料理の温度に合わせて段階的に9–13℃くらいまでいっても良いのではないか?と思います
  • ひと言トーク:「今日は“ワインの持つ酸の精度”で料理の輪郭を整えます。」的なね。

買うならこの2本

  1. サンクト・ヴァレンティン シャルドネ 2021:パワフルで骨格がしっかりしているのに、皿を選ばない包容力。この会の一発目にサーブされたみたいに掴みも完璧。前菜〜魚介に使える万能白
  2. アッピウス 2019:テーブルの主役を張れる完成度。バター、甲殻、キノコが美味しくなるこれからの季節(秋〜冬)はぜひ。

購入リンク(アフィリエイト用プレースホルダー)

  • Sanct Valentin Chardonnay 2021

 

  • APPIUS 2019

 

 

後記

イタリアワイン業界の錚々たるメンバーの中にどうして僕が放り込まれたのか…多分インポーターさんのご好意だったのですが、とても素晴らしく勉強になる会でした。
緊張してあまり話せなかったのはちょっと残念だったのですが、聞きたいことは他の参加者の方が聞いてくださったのでそれをこっそりメモしてました。笑
今はフランスワインを中心に扱っていますが、やはりイタリアも素晴らしいワインはありますね。値段的にはフランスワインよりも使用しやすいし、フランスワインにはない素晴らしさがイタリアワインにもあると思っているので、どこかのタイミングで使用したいなと思っています。
ありがとうございました!

HOT

-Stories / 物語, Wine List / ワインリスト, ブログ
-,