Laurent-Perrierのセミナーを受けて

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Laurent-Perrierのセミナーを受けて

2026.03.05  /  渡邉司(Tsukasa Watanabe)

先日、シャンパーニュのLaurent-Perrierのセミナーを受けてきました。
こんにちは。渡邉司です。
 

実は2025年にも招待していただいてセミナーを受けたのですが、やはり当時よりも自分の中での解像度が上がっていたのか、また違った視点で見ることができたセミナーでしたね。

ちなみに今回は第4代目のセラーマスター、Olivier Vigneron(オリヴィエ・ヴィニュロン氏)が来日してのセミナーとなり、個人的にはとても大満足のセミナーとなりました。


Laurent-Perrierってどんなシャンパーニュ?

まずざっくり説明しておくと、Laurent-Perrier(以下ローラン・ペリエ)は1812年創業のシャンパーニュメゾン。 フランス・エペルネ郊外のトゥール=シュル=マルヌに本拠を置いています。
実は先代が樽職人であることは知られていないのと、ローラン・ペリエは…おっと。これはあとでのお楽しみということで。

セミナーでも話していましたが、ローラン・ペリエのシャンパンーニュ創りは「フレッシュ」「エレガント」そして「バランスの良さ」というスタイルを確立しております。
大手メゾンの中でもこのエレガンスさは随一なような気がします。今回は5種類のキュヴェをテイスティングしましたが、一貫したエレガンスを感じることができました。

醸造責任者が変わっても、「ローランペリエらしさ」が守られている。
これがどれだけ難しいことか、造り手の話を聞くとよくわかります。レストランだってソムリエや支配人が変わればガラリと変わってしまいますからね。変わらずにいることのできる強さは実感しているつもりです。


テイスティングで刺さったこと

今回のセミナーでは5種類のキュヴェをテイスティングさせていただきました。

テイスティングの順番でいうと

・Laurent-Perrier Blanc de Blancs Brut Nature

・Laurent-Perrier Brut Millésimé 2012

・Laurent-Perrier Grand Siécle N°26

・Laurent-Perrier Grand Siécle N°24 Magnum

・Laurent-Perrier Cuvée Rosé Brut

の5種類。どれも素晴らしくレベルの高いシャンパーニュだと改めて実感しました。

そしてとても料理…特にガストロノミーと言われる料理を提供するお店にこそふさわしいのではないか?と思うことができる印象でしたね。
これまでに仕事柄、多くのシャンパーニュをテイスティングする機会に恵まれました。
バーで飲んで真価を発揮するもの、ビストロ、カフェ、レストラン。とそれぞれに合う場所が合って、それぞれのスタイルにマッチするシャンパーニュというものがあると思うのですが、大手メゾンの中でもローラン・ペリエは全体を通して非常にガストロノミックだなという印象。

ローラン・ペリエらしさを守るためにどうしていくのか?ということを日々考え抜いて造られているのだなぁと思えますし、もしかしたらスタイルを守る。という保守的なことに見えるかもしれない側面を変えないための努力でもある。と宣言するかのように感じました。

ソムリエとして現場に立っていると、これは他人事じゃないな、と思います。
「渡邉さんに頼めばなんとかしてくれる」と思ってもらえるような安定感を、自分も持てているだろうか。

どんな環境、どんなジャンルのお店の支配人やシェフソムリエをしても大丈夫な確固たる自信というものが自分にはあるのだろうか。

シャンパーニュのメゾンが何百年もかけて積み上げてきたものを、このセミナーで考えさせられてしまった。


テイスティングで印象に残ったこと

そんな5種類のテイスティングの中で個人的に一番ポテンシャルを感じたのが、Millésimé2012でした。

造り方や熟成などの長期的な視点で見るならグラン・シエクルが必然の選択になるのですが、この日の中で一番といえばこの2012年が頭ひとつ抜けていた印象ですね。

まだ若さを感じるフレッシュな酸と果実味がしっかり残りつつ、トースティな香りもある。奥には砂糖漬けのレモンの香りが顔を出す。僕はこのフレッシュさと熟成しつつあるシャンパーニュにしか出せない、あの奥行きが好きなんです。

ボリュームの強さも感じますが、ドサージュが割と多めだった気がするのでそこに起因するのかなとも思いつつ、「まだ開ききっていない」という状態が、逆に想像力を掻き立てる。というほど本質がわかっているわけではないのですが。。
ただ、これが今後どこに向かっていくのかを考えると、正直何本か購入して手元に置いておきたくなりました。

ちなみにテイスティングに出てきたグラン・シエクルのN°26には2012年もブレンドされているとのことですが、実はMillésiméに使用している2012年とは違うとのこと。グラン・シエクルの方がより良いものがブレンドされているらしいです。
それだけグラン・シエクルは特別だと分かるのですが、それでも僕はMillésiméを推します。
その理由は一旦置いておいて、一点だけ気になったことがあります。

それは提供温度が少し高めだったことです。

多分温度は10°前後だったと思うのですが、個人的にはちょっと高すぎるなと。
用意されていたテイスティングシートにはキュヴェは違えどほとんどが8°〜12°くらいが適温だと書いてあるのですが、僕にはどうしても高すぎると思うのです。

というのも日本は今や亜熱帯的な気候です。
夏は長いし湿度は多いしでゲリラ豪雨は当たり前のとんでもない気候になっていると思うのですが、そんな中で飲むシャンパーニュの提供温度が8°〜というのは僕には高すぎるように思います。

もちろん今回テイスティングさせていただいたワインの香りやポテンシャルを考えると僕が考える温度(5°とか)は低すぎると思います。とはいえ10°がギリギリなんじゃないかなと。

そして日本でレストランに来るお客様は「シャンパーニュというのはよく冷えていてキリッとしている」というのが当たり前に浸透しています。レストランではないお店のお客様の方が尚更そう思っているのではないでしょうか。
どんなプレステージを飲もうがなんだろうが、「発泡している飲み物の温度は低い」んです。

会場から出る時にセラーマスターに提供温度について聞いたところ「香りや味わいのポテンシャルを最大限に引き出すため」という答えでした。確かにそれはわかる。

でも僕らみたいに他人の褌で相撲を取る仕事をしている身としては、どんな状態であれお客様が「おいしくないね」「微妙だね」と言われたら負けなんです。
100万円だろうが、50万円だろうが、1000万円だろうが「まずい」と思われたらおしまいなんです。

だから正直に言うと、高温多湿な日本でシャンパーニュを飲むなら、キンキンに冷えている方が心地よいと僕は思う。
フランスと日本では気候が違う。同じ温度でも、体感は全然違うと思う。フランスでワイン飲んだ記憶は20歳で止まっているけど。
でも日本でソムリエとして身を立てている者から言わせると、本場のフィロソフィーを尊重しながらも飲む人の環境に合わせていくことも、サービスの仕事だと思っているので。
そして「これ美味しいね」と言ってもらうことが、苦労して作ってくれている生産者への最大限のリスペクトだと僕は思います。


蛇足ですが。。。

これは蛇足というか「おいおいしっかりしろよソムリエたちよ」と思ったのですが、生産者が「何か質問はありませんか?」と聞いてもほとんどの人が手をあげないのです。
日本人特有の恥ずかしさや、「なんでそんな質問してるんだよ」と思われたくない気持ちは僕も同じなのでわかりますが、それでも疑問に思うことがあれば少しでも解決する方向で考えるのが現場に立つプロのソムリエです。

僕は手を挙げて質問したし、帰り際にも生産者捕まえて違うことも質問しましたけど。

質問することが偉い偉くないと言っているわけではないのです。
でも普通に現場に立っていたら今回のセミナーを受けたら質問あるでしょ普通。と思うのがプロです。だって自己満足のためのセミナーではなく、お客様へより美味しいワイン、楽しい時間を提供するのが僕らの仕事ですし。

まあ現場に立たないだけの人もいますけどね、今回のセミナーだけでなく。

ちなみに僕が最後に生産者に言われたことは

「たくさん質問ありがとう。嬉しかったよ」です。

では、また。

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