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誰でもできるからこそ「あなた」でなければならない。

2020年11月30日

2021年8月加筆

「サービスってさ、結局誰でもできるよね」

「簡単でしょ料理出すだけだし」

「お前が料理作っているわけじゃないでしょ」

これは僕が今までいたお店で主に言われてきた言葉です。

どうも司です。

ようやく東京は緊急事態宣言が明けますね。ようやくです。

禁止されていた酒類の提供も許可され、いよいよお客様にお酒と料理を楽しんでもらう時が来たかと思うと涙が出てきます。

ロゼ!ロゼ!ロゼ!とジメッとした雰囲気を吹き飛ばすくらい爽快なロゼワインをお出ししますのでお楽しみに。

↑と書いていますが、ご存知の通り加筆前の情報です。東京はまだ緊急事態宣言です。泣

さて、冒頭にも出てきた言葉、飲食業やサービス業に従事している皆さんは言われたことがありますか?

ある人は共感してくれるでしょうし、ない人は嘘でしょ。なんて内容かもしれませんね。

そもそもそんなこという本当に言われるんだ…と思う方もいると思います。

でもこれ事実なんですよね。実際にいろんなところで聞きます。もしかしたらカジュアルなお店の方が言われるんですかね?

一番悲しいのはこれを普通に言ってくるサービスマンもいるという事実です。それも支配人や大きな会社の本社の人たちも言ってきます。

これを聞いた時もちろん言葉にできない怒りを覚えたのはもちろん

どうして今後の業界を担う若手の成長を阻むことをいうのか。

どうして自分たちの仕事をリスペクトできないのか。

この仕事に命をかけている人にリスペクトできないのか。

と思ったものです。

「サービスってさ、結局誰でもできるよね」

これは本当に良く言われました。そして言っている人を見てきました。

もちろん10人いれば10通りの意見があって良いと思いますし、誰が何を思うのも勝手です。

しかし、これじゃあ後進は育ちません、飲食業やサービス業は衰退する一方です。

僕は死ぬまで現役に拘りたいと思っているサービスマン、この年ですが天職だと思っています。

そんな生涯現役に拘る僕は思っていることがあります。

接客業やサービス業はAIにはとって代われないと思っている

飲食業はね、代わる可能性はあるかと思いますが。。。

否定するだけではなく、もちろん自動的にした方が良い面もあります。コストだったり人件費も削るところは削らなくてはいけないのが昨今の飲食事情。

そしてまた削ってはいけないのも人件費…という考えもまた真理。難しいところです。

AIもどんどん飲食業に入ってきているそんな時代だからこそ

人との距離が近い僕らの仕事が提供している価値を見直す時期

だとも思っています。

わかりやすくいうと「付加価値」の素晴らしさを認識してくれる方が増えたということでしょうか。

今は外食そのものの機会が減ってきたのでよりそう感じる人が増えたのか

それともリモートワークになって人と触れ合う、コミュニケーションを取る機会が減り、人肌が恋しいのか…。

ですが僕なりに考えてAIになくて生身の人間にしかないものがあると確信しているものがあります。

それは温もりです。

温もり…ロボットにはありません。全てを最適化し効率よく無駄なく仕上げることは人間はロボットには絶対に敵いません。精度も良いし無限に働いてくれるし、故障しなければもう最高です。

ですが、ロボットでは一生懸命働き、汗を流して動き、悩み泣き苦悩する姿は見れません。

人間だからこそ響くと思います。スポーツを例に取るとわかりやすいですかね。

ただ、働き続ける体力はもちろん敵いませんが。笑

ロボット並みの体力が欲しい…。まあひとまずこれは置いておいて。

さて、そんな接客業やサービス業、どうしてこんなことを言われ続けてしまうのか。

それは

誰でもできるからです。

もう一度言います。

誰でもできるからです。

いやこれ本当です。基本誰でもできるんですよ。

飲食でいえばお皿を持って運んで出す。これでほとんどのことが完結します。

ね、簡単でしょ?

そう、簡単なんですよ。接客って。

「初めて飲食やります。という人でも大体すぐにできる。だから地位が低い。」

これは僕がひたすら言われ続けてきた悲しい現実です。残念ながら間違っていません。

身内にも言われ続けてきました。僕がレストランサービスを一番最初に学ぼうとしたお店でも言われました。

悲しいことです。悲痛です。悔しかったのを今でも覚えています。

それでもどうしてサービスマンに拘るのか。

誰でもできるからです。

一見矛盾しているかもしれませんが、今でも自分が最前線で現場に立つことができる最大の理由がこちらだと思います。

僕は誰でもできるからこそ難しく、そしてやりがいがあると思っています。

特に飲食業はライブです。始まったら終わりまでカットはないのです。

1秒で全ての状況が変わってしまいます。遅れを取り戻すことはできますが、やり直しや巻き戻しはできません。

ただグラスを置く、ワインを注ぐ、料理が載っているお皿を出す。

その一瞬一瞬に全神経集中できるかが命運を分けるのです。

だから差が出るんです。

オーダーを取る、料理を運ぶ、料理を出す、説明する。超シンプル。

ワインや水を注ぐのもそう。誰でもできる。

超シンプルで超単純。

だからこそ

温度は?出し方は?誰から出す?どうやって?どのように?もしかしたら?

とひたすら考え続ける。

だからこそ難しい。

そして差が出る。

そして美しい…。

先ほど一瞬一瞬と書きましたが、本来ならば全ての瞬間に全神経を集中させることができればそれが一番。

ですがそれができる人はそうはいません。フッと気を緩めることだってあります。そんな瞬間を感じることができるのも人間の温度なんですけどね。

ちなみにこの話はサービスマンだけじゃありません。

アパレル、コンビニ、カフェ、販売などの接客全般

接客全部が単純です。シンプルイズベスト。知識がなくてもあっても誰でもそこそこできる。

だからこそ「誰でも」じゃダメなんです。

その人がいるから売り上げが上がる。仕事が安定する。お客様が安心する。大事なことです。

スタッフは人材じゃありません。「人財」です。日本で一番埋もれているのは人です。

人を潰すのではなく適材適所できちんと生かす。褒めて伸びる人もあれば叱って伸びる人もいるのが人です。

ただ現実はそれができない、育ててあげる環境が整ってなさすぎる。

「はい、今日から入った〇〇さんです。じゃああとはやりながら慣れていってね」

そりゃあ無理っすよ。なにそのふわっとした感じ。僕ならこうはしない。といっつも思っていました。

ですが難しいところではありますけどね。ただ実現している企業だってあるのですからやることはできるはずです。(某コーヒーチェーンの教育システムは本当によくできている)

どうにかして変えていかなきゃなと思いながら、大きなことはいきなりできないのでまずは自分の周りから。と、できることをまず丁寧にやっていきたいと思います。

最後になりますが、誰でもできる接客業。だからこそ極める必要がある。

そしてやりがいもある。

と僕は思っています。

幸運なことに毎日現場に立ち、お客様をもてなすことができる環境があります。

そして反応を直に見ることができる。これはとても幸運なことです。

それと同時に残酷です。

満足のいかない姿もすぐに感じてしまいます。それを知った時はもうとんでもなく落ち込みます。

どうして満足いかなかったのか、何がダメだったのか、どうしてどうしてどうして…。こればかり考えてしまいます。

残酷です。すぐに結果がわかるというのも辛いものです。

ただ、逆も然り。嬉しい顔もすぐにわかります。

最初は機嫌が悪そうな方でも満足して笑顔で帰ってくれるのを見ると疲れなんて吹っ飛びます。

その一瞬のために日々勉強し自分へ投資をするのです。その一瞬のためにまた頑張れるのです。

ちなみにこの努力はいつ花が咲くのかわかりません。ずっと蕾のままの人も何人も見てきました。

上司に潰された人。

人間関係がうまくいかず一人ぼっちになった人。

会社と上司に恵まれず出世できずにいる人。

たくさんの人を見てきました。

悲しいですが現実です。

このコラムを読んでいる全ての飲食業、接客業の方

「誰でもできるよね」

いいえ、あなたにしかできません。

では、また。

アフターコロナに備えましょう。

 

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渡邉司(Watanabe Tsukasa)

銀座、西麻布などのレストランにてマネージメント業務やソムリエ経験を生かし、レストラン経営コンサルタントとして独立。 現場に立ちながら他会社のワインリストの作成やスタッフ教育など人材育成にも力をいれる。 芸能人のマネージャー経験もある変わり者。 HRS協会認定西洋料理テーブルマナー講師

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