2021年8月加筆。
今年は何故か蚊に刺されない…どうもTsukasaです。
毎年毎年蚊にモテる僕としては少し寂しいやら嬉しいやら。そもそも今年はあまり外に出ていないからかしら…。
いや、いいんですけどね。痒くないし。
以前なら寝込みにも襲われたりしてましたからもう蚊取り線香が必須だったわけです。
あの耳元でプーーーンと聞こえた瞬間の、冷や汗が止まらない時間に悩まされることがないのは喜ばしいことです。
そう言えば◯ィズニーランドでは蚊がでないらしいですね。水を循環させているからとかなんとか。豆知識です。
さて、毎日いろんなお酒を飲み、コーヒーを飲み、紅茶を飲みと日々いろいろなことを勉強しているとですね。
ふと「そういえば昔飲んで美味しさが分からなかったあれ飲んでみようかな」と思う時ありませんか?
個人的にワインでいえば、昔はあまりソーヴィニヨン・ブランが得意ではなかったのですが、最近はあの青さを求めて飲むなんてことをしたり
合わせる料理に対してソーヴィニヨン・ブランの青さを薬味の一つみたいな出し方をしたりと結構楽しみながら使っています。
不思議なものです。あまり得意ではなかったのにね。
食材で言えばパクチーやパセリ、セロリが得意ではないのですが、そろそろ試してみようと思います。
特にパクチーは本当に苦手で、大体パクチーを使う料理って把握しているのですがたま〜にサラダとかに入ってるのを見た瞬間
終わった…となっています。笑
パセリとかセロリはなんとなくなら食べれるんですけど、パクチーだけはどうしても得意にはなれないんですよね。
それで何が言いたいのかと言うと、先に上げたワインや食べ物に限らず筋トレでもなんでもそうですが、最初はうまくいかないことや苦手だって思うことの方が多いですよね?
食べ物で言えば昔はレバーが苦手だったけど今は好きとか(僕はそうでした)筋トレで言えば腕立て伏せが10回しかできなかった、ワインならあの香りが取れなかった、ブショネが分からなかったなどなど。
でも継続していったらできるようになったとか、苦手を克服したとか、完璧ではないけど品種はわかるようになったとか。
ランニングなら最初は1キロを走り切るのも辛かったけど、徐々に慣れてきて10キロまで走れるようになったとか。
やはり鍛えればできるようになるわけですよね。継続は力なり。
正確には「正しい方法で正しい量をこなすことは力になる」というのが僕の持論ですが。これはひとまず置いておきましょう。
これを先程のソーヴィニヨン・ブランに置き換えると
苦手だったりしたものが色々な経験(飲んだ量とか質)や知識を得ることによって選択肢として増える。
ということに気がつきました。
で、ここから本題なんですけど
タイトル「感動したワインから見る成長の曲線」
皆さんは飲んで感動したワインはありますか?
あまりお酒を飲まない方であれば洋服や食べ物で感動するデザインや味に出会ったことがありますか?
きっと多かれ少なかれ何かしらあるのではないかなと思います。もちろん今はなくてもこの先きっとあると思いますから大丈夫。
ちなみに、僕が飲んで一番感動したワインは何か?
と聞かれた時に答えるワインがあるんです。実は僕昔はワインなんて飲むもんじゃねー。とか思っていました。笑
元々ウイスキーやブランデーなどのハードリカーを好んで飲むことが多く、ワインなんて金持ちの道楽だよね。という非常に穿った目で見ていました。笑
そんな僕がワインて美味しい!と思ったのは、造り手は覚えてないんですけどバローロ。
あとはオーパスワンの2010。これは本当に美味しかった。ワインにハマるきっかけをくれたのは間違いなくオーパスワン。
その時にはソムリエが仕事になっていましたから高いワインが飲めたという想いもありつつの美味しさでしたけどね。
そのあとも色々なワインを飲みました。シャンパーニュも白も赤もロゼも色々飲みました。ですが
感動
というワインに出会うことが中々できなくていつ会えるのかな〜と思っていたんですね。
で、とうとうその時がやってきました。確か27歳の時ですかね。
僕が一番感動したワインは何か?
それは
ル・パンなんですけどね。
繰り返します。
ル・パンなんですけどね。
とても大事なところだからもう一度言います。
ル・パンなんですけどね。
…改めてみるととんでもない値段ですな。
そう、幸運なことにあのル・パンを飲む機会に恵まれたんです。まさか自分が。なんて思っていたんですけどあるんですねこういう巡り合わせって。
月並みの言葉ですが、あの時の感動は今でも忘れません。
基本はテイスティンググラスでワインを飲むので当時もテイスティンググラスで飲んだんですけど
大ぶりのグラスで飲んだらどう感じたのか。それだけが唯一残る後悔です。
ルビー色の液体をグラスへ入れた瞬間から香る芳醇な香り。溢れる気品と高貴な姿。
口内で感じ取れる滑らかな舌触り。目を瞑るとあの瞬間が甦ります。
よくメルロー(ル・パンに主に使われる品種)の真価は超絶的な舌触り。と言いますがまさにシルクそのもの。
みなさん実際にシルクを噛み噛みしたことあります?まあよほどの変態でない限りないと思いますが、変態で通っている僕はもちろんあります。笑
あれですよ?ワインに使われるシルクのような舌触りって何かな?って思いからですよ?そ、そんな日常的にしませんよ?
…しませんからね?
ゴホンッ。で、そもそも口に入れるものではないんですけど、あの時に感じたあのツルツルした生地感。
本当に滑らかなんですよね上質なシルクって。カシミアよりも触った感覚は良いんじゃないかな?
で、まさにその時の感覚がワインを通じて感じれたわけですよ。液体でそんなことを感じるなんてありえないと思いながら
もう言葉にならないくらい感動したのを今でも覚えています。
10mlくらいしか飲めなかったのと、当時の僕にしては結構な値段したんですが飲んで良かった。
口に含んでいる間、時間が止まっていたと思います。
あまりワインを知っていたわけではないあの時に最上の物を知れた幸福感。
まだ勉強もそこそこで名前くらいしか知らないのに飲んでいいのかな…と思いながら手を出してしまう魅力。
ル・パンという名前で感じる圧倒的な存在感。
「ポムロールの奇跡」と称されるワインを口にできたことはソムリエとして生きる僕にとっては最上の瞬間の一つでしょう。
とここまで悦に浸って書いてきましたが、一つ言いたいことがあります。
もう一回飲みたい!!!笑
いや、ほんとに。
あれですよ、飲んだ自慢したいとかじゃないのよ。いや、ちょっとありますごめんなさい。
さて、ここまで読んだ方は疑問に思うかもしれません。
今回のタイトル
感動したワインから見る成長の曲線
ですよ。感動したワインについては触れましたが成長の曲線に全く触れていません。
なぜか?それをこれから書きますお待たせしました。
そう、このル・パンを飲んだ経験が非常にキーとなってくるのです。
みなさん、一度は経験したことがありませんか?
自分の好きなものを食べたり飲んだりして、思っているほど「美味しい」とか「食べて良かった」「飲めて良かった」と感じなかったことありません?
噂に聞いていたお店の料理がイマイチだったとか念願のこのワインは微妙だった。
ありません?僕はあります。一度ドンペリニヨンのP2を飲んだ時に思っているほど感動しなかったんですよね。
↑当時飲んだヴィンテージは1998だったかな。
お店で飲んだのでまあいいお値段したわけですよ。
で、もちろんきちんとしたソムリエの方にお願いして温度とか提供方法とかバッチリしてもらって飲んだにも関わらず
おかしいな〜と首を傾げながら飲んだわけです。まさに思っていたのと違う。という感じで。
その時の自分にビンタしたいのですが、グッと堪えて話を進めましょう。
そこで思ったんです。どうして当時は感動しなかったのか?
僕の場合は簡単です。
自分のレベルがそこに至っていなかったんです。
これに尽きます。緊張していたとかそういうのもあるのかもしれませんが、原因の一番は自分なんです。
もちろん人によっては体調があまりよくないとか理由は人それぞれ。僕の場合は完全に自分のレベルが低かったと言うのが理由です。
なんなら勉強のために当時◯オジエにディナーに連れて行ってもらったことがあるんですけど
確かにすごい、煌びやかで全てがキラキラしていて料理は美味しいしワインも上質、空間も素晴らしい。サービスだってもちろん素晴らしい。
それは分かる。
けど、それしか分からないんですよ。「凄い」とか「良かった」としか言えないんですよ。
本当にすごいものには言葉を失う気持ちもわかるのですが、仕事として生きている以上きちんと分析をしなくてはいけません。
もちろん今は生業として生きていますから何がどのように凄いのか、凄くないのかと分析できます。料理もワインもね。
ですが、当時のペーペーだった僕には理解ができないんですよね。かけ離れているわけです。レベルが。
引き出しがないんですよね自分の。
比べることができない。もちろん比べる物ではないのですが、グランメゾンと言われるレストランはビストロやカフェと何が違うのか?
食器なのか、人なのか、ワインなのか素材なのか…
もちろん言われればわかります。そもそも金額が違うし、食材だってフランスから取り寄せている食材だから良いとか、ワインは有名な生産者のワインだから、サーヴしてくれる人が有名人だからとかね。
でも頭では理解しているけど腑に落ちていない。知っているけど分かってはいない。
人って理解できないことには共感できないし受け入れることができない生き物なんです。悲しいですが事実なんです。
そう、ここが大きな落とし穴。いくら凄くて貴重だろうが素晴らしいものだとしても
引き出しがなければ理解ができないのです。
ですが人間てきちんと理解していく生き物で、毎日毎日意識をしてテイスティングやトレーニングをすると徐々にわかるようになるんですね。筋肉がつくように。
始めは分からない味や香り、空気感や世界観も徐々に理解できるようになるんです。
「あれ、今までわからなかったあの香りが取れるようになったぞ」
「なるほど、味わいの奥行きはそうなのか」
「だから良いと言われるのか」
とかね。きちんとわかるようになるんです。ですがわかるタイミングは人それぞれ。
一月で開花する人もいれば半年、一年経って開く人、3年、5年経って開花する人、10年経って開花する人、しない人…さまざまですが開花するんです。
これをビジネスだと成長曲線と言うそうですが、人間にも当てはまります。
元々は子どもが生まれてから思春期を過ぎて成長が止まるまでを研究したことを指すようですが。
僕もワインを勉強し始めた時は酸化やブショネがわからずモヤモヤしたものです。
いつまで経ってもわからない状態が続き、よくお前はセンスがないと言われたものです。
ですが、やはりわかるようになるんですね。不思議です。
ですが開花する前に辞めていく人の方が圧倒的に多いんです。あと一歩で開くところだったのに諦めてしまう人が多いのなんのって。
先ほども書きましたがどのタイミングで開花するかは人次第。こればかりはピタリと当てることはできません。
ですが必ず開きます。開花します。
「正しい方法で正しい量をこなすことは力になる」
これをきちんとすれば。の話ですが。
大丈夫。センスがないセンスがないと言われた僕が食べていけるんですから。
もう一度、ル・パンやドンペリのP2を飲んだらきっとまた違う世界が見えるだろうなぁ。
そんなことを思いながら書いてみました。誰か飲ませてくれないかな(ボソッ)
では、また。
香りも取れるようになりますからね。継続は力なり。